1/28の公開審査会を経て、『とりで』が大賞をいただくことになった。本当にありがたい。
AAF戯曲賞の公開審査会は初めて見たが、かなり面白かったのでその雑感を書き留めておく。贔屓目かつ安全な場所から偉そうに書くことをご容赦いただきたい。
審査会中に何度か、『とりで』は岸田國士が劇作に使った手法と同じ手法で書かれている、といった趣旨のコメントが聞かれた(主に鳴海さん発)。それ自体はとても興味深いし、実際ここ2年くらい岸田國士の戯曲をラジオ新聞室でちまちま読んでいて、またそれが演劇に関わる活動の主だったので、まぁそういうこともあるよなと思った。そしてここでいう手法というのはつまりはっきり書けばおいそれと読みとってもらえる設定(とりでで言えば病気とか)をあえて明示せず、その陰りだけを書き込むという手法のことだ。岸田國士がどうだかは置いておくとして、とりでについては「書かれていないものを評価するのは難しい(鳴海さん)」と言われてしまうほど、「書かれていない」という評価だった。ただ一方でこの手法を今使うことの意義だとか、何を持って岸田の手法を更新したと言えるのか、何が岸田と違うのか等、様々な観点から評価の与え方を検討してくれる場面があった。そこからは冒頭の岩渕さんからの発露もそうだが、瑕疵ばかりに言及するという審査の仕方が審査会全体として忌避されていたことが窺えた。
ともあれやはり面白かったのは、
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